エプソンのプリンターとサービスが支える、自宅学習サービス「家スタ!」

今回は、Epson Connectを活用した自宅学習サービスを展開している学習舎シオン 塾長の松本庄司さんに、セイコーエプソン株式会社(以下エプソン)P事業戦略推進部 原基彰を交えオンライン取材を実施しました。

学習塾の事業を通じて「勉強で困っている子たちをなんとかしたい」

香川県高松市で3つの学習塾を運営する学習舎シオン。塾長の松本さんは小学校教員として12年間勤務した後、2004年に開塾しました。通塾による学習支援のほか、ロボット教室やプログラミング講座、オンライン英会話なども行っています。通塾生はおよそ150人。授業を受ける日時を自由に選べることなどが、地域の人々を中心に高く評価されています。

学習舎シオンでは独自の映像授業と、教育サービス企業が提供するプリント学習システムを利用した個別指導を行っています。塾生は松本さんが作成した映像授業を受け、それぞれの学習レベルに合ったプリントを解きます。プリントを作成したり選択したりするのは松本さんら講師陣のため、そこに学習舎シオンの独自性が現れます。「英語と数学の授業動画は3年分用意している」と松本さんは話します。

学習舎シオン様 代表 松本 庄司さん
<学習舎シオン様 代表 松本 庄司さん>

2019年11月には自宅学習サービス「家スタ!」を開始しました。学習塾を開設した当初から自宅学習サービスを行う構想はありました。通塾の場合、日にちや時間に制約があり、塾生の学習をサポートできる範囲に限界があると感じていたからです。「勉強で困っている子は多くいます。その子たちをなんとかしてあげたいという思いがありました」(松本さん)

エプソンのプリンターとサービスならば思い描く自宅学習サービスを始められる

松本さんが思い描く自宅学習サービスは、通塾生に行っている個別指導と同じものを生徒の自宅でも行えるようにすること。そのためには、なるべく人を介さずにサービスを提供できるシステムの構築が必要でした。

最初は、オンラインのコミュニケーションツールを利用することを考えましたが、そのためにはパソコンを用意し、アカウントを作成するなど環境を整える必要があり、ハードルが高いと感じてあきらめました。また、学習プリントをPDFにしてメールで送信する方法も検討しましたが、生徒自身で印刷を行うのは難しく、保護者の手間が掛かるという問題がありました。「いずれの方法もそもそも家庭にプリンターがないとどうしようもなかったのです」(松本さん)

FAXを利用した学習方法を採用する学習塾もありましたが、通信料が高いため、選択肢から外しました。学習プリントを写真撮影してSNSツールを使って生徒と送り合う実験も試みましたが、生徒と講師の両方に負担が掛かるうえ、何より撮影したプリントが見えにくいため、こちらも採用には至りませんでした。

エプソンのプリンターとサービスならば思い描く自宅学習サービスを始められる

自宅学習サービスを始めたくても、それに適したシステムが見つからずに困っていたある日、松本さんはクラウドを介してパソコンとプリンターを結ぶサービスを利用するため、そのサービスに対応するエプソンのプリンターを購入しました。そして、エプソンのモバイル・クラウドサービス「Epson Connect」とプリンターを合わせて使えば、思い描く自宅学習サービスのシステムとして利用できることを知ったのです。

生徒は通塾の必要がなく安全、塾はターゲット地域の拡大が可能に

さっそくエプソンのプリンターとサービスでシステムを構築し、半年ほどのモニタリング期間を経て、2019年11月に自宅学習サービス「家スタ!」を本格的にスタートしました。

生徒の家庭にエプソンのプリンターを設置。学習の進め方は次の通りです。①塾から送信した学習プリントを生徒の家庭にあるプリンターで自動印刷。②生徒は解答したプリントをプリンターのスキャナー機能を利用して塾に返送。③生徒から返送された解答を講師が採点し分析、不正解だった箇所と類似した問題を集めた学習プリントを再送信。④生徒は自動印刷されたプリントの問題を解いて苦手を克服。

「家スタ!」には生徒と保護者にとって2つのメリットがあります。一つは通塾の負担を軽減できること。保護者が送り迎えをしたり、生徒が一人で帰宅したりする必要がなくなります。「中学生が夜遅くに一人で通塾するのは保護者だけでなく私たちも不安に思うことがありますが、「家スタ!」ならばその心配がなくなるのです」(松本さん)

もう一つのメリットは生徒が時間に縛られず、自分の生活リズムに合わせて勉強できることです。とはいえ、家庭では勉強に身が入らない生徒もいるため、生徒のモチベーションを保つための工夫は必要です。松本さんは「週一回でもいいから塾で勉強を見てほしいという生徒や保護者の要望には対応しています」と言います。また、「家スタ!」では講師が生徒の顔を見ることができないため、こまめに連絡を取るようにもしているそうです。

また、塾にとっては顧客のターゲットエリアを拡大できるというメリットがあります。「家スタ!」は通塾する必要がないため、学区外より広いエリアで生徒を募集できるのです。

印刷機器にとどまらず、通信機器としても活躍するエプソンプリンター

「家スタ!」のシステムとして採用したエプソンのプリンターについて松本さんは「パソコンと接続しなくても単体で利用できるのがいい」と話します。「塾で購入し、セッティングを済ませて配布すれば、生徒の家庭ではWi-Fiに接続するだけで使えるのです。40台ほど配布しましたが保護者から問い合わせがあったのは、Wi-Fi接続に関する1件だけでした」(松本さん)

また「Epson Connect」に登録したプリンターの稼働状況を把握できる点も高く評価しています。「生徒に送信した学習プリントが家庭のプリンターで印刷されているかどうかだけでなく、プリンターに紙詰まりが起きていたり、用紙やインクが切れたりしている場合もメールで通知が届くため、保護者に連絡することができるのです」(松本さん)

印刷機器にとどまらず、通信機器としても活躍するエプソンプリンター

生徒や保護者が手軽に使えるだけでなく、塾側も簡単にプリンターを管理できるエプソン製品とサービスを利用することで、「家スタ!」は軌道に乗りました。「プリンターを出力するだけの機械だとは思っていません。通信機器の一つして考えれば活用方法はもっと広がっていくはずです」と松本さんは話します。

学習舎シオンの「家スタ!」の情報を得たエプソン 原は、松本さんに話を聞きたいと考えコンタクトを取りました。「プリンターを提供する企業の社員として、紙を利用した学習スタイルに興味がありました。遠隔学習に関する実証実験を行っている最中であったため、飛び込みで話を聞きにいったんです」(原)

セイコーエプソン株式会社 原 基彰
<セイコーエプソン株式会社 原 基彰>

タブレットなどを活用した教育に効果が現れている一方で、従来の「書く」ことによる記憶の定着化など、これまでの学習体験の良い面が減ってしまうのではないかと考えていた原にとって、松本さんから「問題用紙の端に書かれた計算式を見たりして生徒の勉強の過程を知ることができるため、紙を使った学習には意義がある」という話を伺えたことは大きな収穫でした。

通塾せずに自宅学習を可能にした「家スタ!」でコロナ禍による危機を乗り越える

新型コロナウイルス感染が拡がると「家スタ!」への問い合わせが増加、兵庫県や神奈川県など県外の保護者から連絡を受けることもあるそうです。

2020年3月から5月にかけては、感染対策のために全国の小中高校などが一斉休校となり、学習舎シオンが運営する塾も休校を余儀なくされました。
「塾生たちの勉強がおろそかになることを避けたかったし、通塾していないのに授業料をいただくわけにもいかなくなったので困りました。そこで「家スタ!」で培ったノウハウを生かして、通塾生にもエプソンのプリンターを配布し、「家スタ!」と同じ方法で学習を進めてもらったのです」(松本さん)

塾が再開するまで家庭に配布したプリンターを利用して勉強を続けてもらい、塾の再開後、不要であれば家庭からプリンターを引き取る。もしプリンターを使い続けたい場合は代金を支払ってもらうというスタイルでした。
「実際に塾が再開すると、ほとんどの保護者がそのままプリンターを使うことを選択しました。プリンターを利用した自宅学習の有用性を感じていただけたのでしょうね。自宅にプリンターがあることで、無理して子供を塾へ通わせない保護者も増えました」(松本さん)

「家スタ!」のサービス提供開始から1年半ほど経ち、学習効果も現れてきました。通塾の場合、時間に制限があるため解答するまで至らなかった生徒も、自宅学習ならばたっぷりと時間を掛けて問題を解くことができます。毎日送られてくる学習プリントに取り組むことで、勉強する習慣も身につきました。その結果、生徒たちの学力が向上してきたのです。また、学習舎シオンでは2021年に高校を受験したすべての生徒が第一志望に合格しました。これも「家スタ!」を含めた自宅学習の効果の一つと言えるでしょう。

自宅学習サービスを行う全国の学習塾と一緒に「家スタ!」を広げたい

松本さんは学習舎シオンの今後の展望として、「引き続き地域の子供たちの勉強をサポートしていきたい」と話します。さらに、「家スタ!」やエプソンのプリンターとサービスを利用した授業によって、教育弱者となる子供たちの支援を積極的に行っていく方針も掲げています。
「「家スタ!」は勉強をしたくてもできない子、例えば不登校の子や長期間入院している子、離島などの僻地で教育の格差が生まれやすそうな子たちの学習を支援するのに生かせるシステムなので、少しでもそうした子たちの力になりたいと思っています」(松本さん)

学習舎シオンと同じような自宅学習サービスを行っている学習塾と一緒に「家スタ!」を広げていきたいとも考えています。
「地域によって入試制度が違いますし、自宅学習サービスでも進路相談や対面サポートは必要です。学習舎シオンを窓口にして遠方のお客様から「家スタ!」の申し込みをいただいた場合、各地の学習塾と協力してサービスを提供できるようにしたい。賛同してくださる学習塾と一緒にそのための仕組みをつくっていきたいですね」(松本さん)

自宅学習サービスを行う全国の学習塾と一緒に「家スタ!」を広げたい

遠隔学習によって子供たちを支援したいという松本さんの思いは大きく広がります。

※「家スタ!」については、https://iestudy.jp/よりご覧ください。
※Epson Connectについては、http://www.epsonconnect.com/よりご覧ください。

取材実施日:2021年4月