「スマートシティを加速せよ」個々の想いと社会の課題が重なり、つながる——オンラインハッカソン「HackTrek 2021」開催レポート
オンラインハッカソン「HackTrek 2021」開催
エプソンのDNAである「省・小・精の技術」を受け継ぎ、製品やサービスを通してサイバー世界とリアル世界をデジタルで繋げてきた『Epson DX』。COVID-19の影響により世界の分断が余儀なくされている今だからこそ、一人ひとりのつながりを深いものにする新しいきっかけを生み出すことはできないか——そんな思いから、2月最後の週末に完全オンラインハッカソン「HackTrek 2021」を開催しました。
今回のテーマは「スマートシティを加速せよ」。ハッカソンでの決まりは「Epson Connect API」を使うことのみという自由度が高い内容だからこそ、参加者のアイディアと腕が真正面から試される2日間——どのようなメンバーが参加したのか、気になる優勝チームは?!いざ、開幕です!
Epson Connect APIとは?
「Epson Connect」というクラウドサービスに接続しているプリンターやスキャナーに対して、インターネット経由で印刷処理を制御・実行する機能を提供するAPIのこと。
ユーザーから離れた場所に設置されているプリンターに対して、手持ちのファイルを印刷させることも可能です。
スマートシティの実現に魅せられた14チーム・総勢53名
今回のハッカソン参加者は14チーム・総勢53名。10代から50代まで、年齢問わず「スマートシティを加速せよ」という想いの実現に向けて挑戦したい!と意欲高いメンバーが集まりました。
全国をつなぎオンラインでの開催となった本イベント。運営は「自分のチカラでセカイを変えようと行動する人を支援する」をミッションに掲げるジーズアカデミーさん(以下、ジーズアカデミー)に全面的なバックアップをうけ実施しました。
その東京拠点からの配信は、オンラインを感じさせないほどの熱気に包まれました。zoomの画面越しに映る参加者の皆さんの表情からも熱気と緊張が伺えます。
Epson Connect APIを知り、アイディアを深めるインプットタイム——ハッカソン 1日目
開催の挨拶や審査基準の説明が終わり、いよいよ「Epson Connect API」のインプットタイムへ。プロダクトの中心となるAPIのことを知る大切な時間です。最初に説明を行ったのは、執行役員 DX推進本部副本部長 兼 プリンティングソリューションズ事業部 副事業部長の𠮷田 潤吉。オープンイノベーションに対するエプソンの取り組みや今回のハッカソンについての期待を述べました。
続いてDX推進本部 DX戦略推進部 部長の中見 至宏からは、 スマートシティに対するエプソンの注力領域をご紹介。中見は我々エプソンがオープンイノベーションの拠点として位置付けて入居している、会津のシンボル・鶴ヶ城(若松城)を望む立地に開所した「スマートシティAiCT(アイクト)」から参加者へエールを送りました。
今回のハッカソンにメンターとして参加したのはプリンティングソリューションズ事業部 P第一企画設計部 課長 水田 雅彦とプリンティングソリューションズ事業部 P第一企画設計部 井上 陽生。実際に画面を共有しながら「Epson Connect API」の特性や注意点を参加者に寄り添いながら説明しました。
想いをカタチに変えていくハックタイム、そして結果発表へ——ハッカソン 2日目
インプットタイムが終わるといよいよハックタイムへ!オンラインの特性を生かして、VR空間での開発を試みるチームや、それぞれ居住地が違うメンバーで構成されたチーム等、新たなハッカソンという形を楽しみ模索しながら開発に取り組む参加者の皆さん。その様子を覗いていると、コロナ渦で分断された状況を跳ね除けるような各チームの深い信頼と繋がりを感じます。
そして2日目の16時45分、無事にハックタイムが終了!約27時間の開発を終えて、参加者のほっとした気持ちも束の間、続いて審査のためのプレゼンテーション&デモンストレーションタイムへ。
今回の審査は、テーマとのマッチ度合いを問う「テーマ点」と社会実装へ向けた会津若松での実証実験につながる「実現点」という視点から実施。あくまで今回のテーマである「スマートシティを加速せよ」に拍車をかけられるプロダクトになっているかどうかが優勝への鍵となるため、プレゼンテーションタイムではスマートシティの実現に向けたそれぞれの熱い想いを各チームがぶつけ合いました。
続いてのデモンストレーションタイムでは、zoomのブレイクアウトルームを利用して審査員が各チームのルームへ移動。実際にそれぞれのデモンストレーションを受けて、審査員の感嘆と笑みがこぼれます。
そして白熱した審査タイムを経て見事入賞を果たしたチームはこちら!
【ジーズアカデミー賞】
副賞:Tech審査員 ジーズアカデミーメンター茂木氏による、プロダクト化に向けたメンタリング
・開発サービス名:Neos VR プリント
Neos VRの空間から印刷できる、4つのプロダクトを開発しました。①VR空間から書類を印刷 ②VR空間で撮影したプリクラを印刷 ③VR空間内で展開した板書を印刷 ④VR空間から印刷した紙で、360°組み立てられるペーパークラフトを印刷。バーチャルとリアルをコネクトするサービスです。
【日本総研賞】
副賞:審査員 大森氏による、サービス化に向けたメンタリング
・開発サービス名:クリッピングペーパー
Web上でのさまざまな情報を決まった条件で抽出してまとめ、それを紙にレイアウトして印刷するシステムです。あえて印刷しそれらを掲示することで、その場に集まった方々のコミュニケーション活性化を目指します。
例えば、やりとり量が多く全容を把握しづらいSlackの文章をクリッピングして印刷することもできるため、それらを社内に掲示しメンバー間における雑談のきっかけを生み出します。
【エプソン賞】
副賞:QUOカード 30,000円分
・開発サービス名:プリンターならではの新しいコミュニケーションツール(サービス名未定)
トーク内容を印刷し、遠方に住む高齢者(祖父母等)にメッセージを届けるサービスです。LINE BOTと連携し、テキストや写真を送信するとそれらがプリンターに届き絵本のようなレイアウトで印刷されます。また、個人のメッセージだけではなくグループのやりとりからAIが適切な文章を抽出し定期的にプリントする機能も備えていて、複数名の話を要約する手間も省くことができます。
・開発サービス名:緊急情報受取サービス Emason
地震等の災害時に、付近の避難所の情報やとるべき行動のTipsが自動で届き印刷されるサービスです。急な行動や対応が求められる災害時に必要な情報を紙で確認できることは、周囲と認識を合わせるだけではなく、外出時にも簡単に持ち運ぶことができ役立ちます。コンビニエンスストアや行政機関のプリンターからも出力することで、観光客や一時的な来訪者の方も適切な情報を入手することができ、街全体の混乱を防ぐことが可能になります。
【準優勝】
副賞:50,000円
・開発サービス名:みんなの回覧板
地域で作る新しい回覧板です。住民の方が投稿した地域のトピックスやニュースをSNS感覚で投稿すると、それらが各ご自宅のプリンターに届き印刷されます。災害時の緊急情報等も印刷物を家族全員に渡せば、同じ情報をそれぞれが手元に保管しておくことが可能です。将来的には行政の情報が各家庭のプリンターに届き、自動で印刷され情報格差がない状態を目指します。
「私たちは高校生活の半分以上をコロナ禍で過ごしました。」
今回、見事優勝を果たしたのは「すごくなりたいがくせいぐるーぷ」の皆さん。COVID-19の影響を直に受ける高校生ならではの「“放課後の時間がない”という切実な想いを実現するプロダクトに胸を打たれた」と語るのは審査員の𠮷田。
チーム一人ひとりが普段何気なく胸に抱いている悩みから派生した今回の優勝プロダクト。個々の想いと社会の課題が重なり、つながる——まさに、製品やサービスを通して世界中のお客様とのつながりを生み出し続けている『Epson DX』のハッカソンに相応しい優勝となりました。
【優勝】
副賞:100,000円
・開発サービス名:放課後の学びの架け橋 Catenary
放課後に先生と生徒がコミュニケーションを取れるサービスです。「私たちは高校生活の半分以上をコロナ禍で過ごしました。そしてこれからもそれは続きます。」と訴える参加者が、自身の課題解決に向き合いました。「友達と勉強を教え合う時間」「職員室に行って先生とだべる時間」「先生に問題を教えてもらう時間」といった「消えたホウカゴジカン」をオンラインで再構築。オンラインミーテイング機能とチャット機能を掛け合わせ、気軽に先生に質問できる空間を実現しました。
職種や年齢問わず多くの方にご参加いただいた今回のハッカソン。初のオンライン開催となりましたが、終了後のアンケート(今回のハッカソンの充実度はいかがでしたか?)では満足度4.46(5点満点中)のご評価をいただくことができました。
<アンケート内容について一部ご紹介>
「徹夜で企画・コーディングするのは辛くもあり、仲間と一緒にやることが楽しくもありました。とてもいい経験ができました。ありがとうございます。他チームのアイディアもすごいものばかりでとても刺激になりました!」(20代・男性)
「オンラインでも十分満足できる時間になりました。遠方からも参加しやすかったので嬉しかったです」(40代・女性)
「普段関わることのできない遠くの方とも貴重な意見交換ができたためオンラインの良さを感じました」(20代・男性)
そして、優勝・準優勝を始め入賞チームは、実際のサービス化に向けてすでに動き始めています。今後の動向も随時ご紹介していきますので、どうぞお楽しみに!
記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、すべてインタビュー時点のものです