デジタルの力で「まち」をリアルにつなぐ -遠隔・空間接続ソリューションを活用した西会津町連携協定式の舞台裏
セイコーエプソン(以下、エプソン)は2021年6月22日に福島県西会津町と「夢に挑戦できる西会津の共創に向けたまちづくり連携協定」を締結しました。官民共創によるデジタル戦略の推進と、地方における持続可能な暮らしの実現を目指すこの協定締結式では、離れた2つの場所を映像でつないで実施。 今回は、コミュニケーションの分断を無くし、地域社会に人流・交流を促すエプソンの取り組みを紹介します。
関連ニュースリリースはこちらからご覧ください:福島県西会津町と「夢に挑戦できる西会津の共創に向けたまちづくり連携協定」を締結
地域社会と遠隔地をリアリティのあるコミュニケーションでつなぐ
西会津町は、2021年3月に「西会津町デジタル戦略」を策定し、町民本位のDXにより「夢に向かって挑戦することができる、ずーっと住み続けたい町」の実現を目指しています。一方、エプソンは会津若松市に“DXイノベーションラボ”を開設し、「スマートシティ会津若松」への参画など、地方における持続可能な暮らしの実現に向けた取り組みを進めてきました。西会津町との連携協定を締結することで、相互に連携・協力し、地域の課題解決と持続可能な町の実現に取り組んでいきます。
新しい生活様式の浸透により、 在宅勤務、オンライン会議、遠隔授業などリモートでのコミュニケーションは大変身近なものとなりました。ただ実際に人と会って行うコミュニケーションと比較した際の課題は「臨場感」にあると考えています。また西会津町やエプソンが本社を構える長野県などの地域社会は、コロナ禍で移動が制限されるなか、その土地の自然・文化や暮らし、特産物などの情報発信を通じて人流獲得や地域活性を求めています。その解決策として、エプソンが提案するのが、連携協定式で実験的に活用された、遠隔・空間接続ソリューション です。プロジェクターで世界トップシェアを誇るエプソンだからこそ、大画面かつ高画質な映像体験を最大化し、分断されたコミュニケーションにリアリティのある彩りを添えられると信じています。
あたかも会場にいるかのような錯覚を与える340インチ大画面映像体験を演出
エプソンが定義する遠隔・空間接続ソリューションとは、距離が離れていても、高精細・大画面映像であたかもその場にいるような臨場感を表現することで、実際対面しているような体験を提供することを目指しています。我々が持つプロジェクターの技術の可能性をさらに高めるため、注目したのは「カメラ」 と「Web会議サービス」でした。「カメラ」に関しては会津地域に生産拠点を構える株式会社シグマ様(以下、シグマ)の協力により、高い光学性能を有するレンズ及びミラーレスカメラ*よる撮影環境を。「Web会議サービス」に関しては、Zoom Video Communications, Inc.(以下、Zoom)の協力を得て、大画面での映像表現に必須である高解像度・高品質なビデオコミュニケーションを追求いたしました。
今後は5Gの普及も予想されることから、このソリューションを様々な場面で多くの方に使っていただけるよう最適化していきます。
締結式は西会津町を本会場として、登壇者である薄町長、セイコーエプソン執行役員𠮷田の2名が登壇し、挨拶、締結書への署名、そして締結書を掲げたフォトセッションを行いました。会場には超単焦点高輝度プロジェクターを2台設置し、スーパーワイド(32:9)型340インチの大画面映像を設置。𠮷田は直線距離で約200km離れた長野県にある広丘事業所から、写真にある通り、あたかも会場にいるかのような等身大の映像でリモート参加しました。会場に訪れた報道関係者も口をそろえて「どうなっているのですか?」と不思議に思える映像演出。これは弊社広丘事業所内会議室をバーチャルスタジオに変更して行いました。
株式会社シグマ 国内営業・マーケティング部 根上拓様のコメント
「エプソンとの空間接続ソリューションにおきまして、SIGMA fpをご活用いただき誠に有難うございます。SIGMA fpの特長である高画質・拡張性・コンパクトさが、写真・映像作品の制作だけでなく、こうした先進的なソリューションシステムの一環としてお役に立てることをとても嬉しく思います。今後多くの方が空間接続ソリューションを身近に使用できるようになることを期待しています。」
Zoom Video Communications, Inc. 佐賀文宣社長のコメント
「エプソンが取り組まれている、デジタルの力を活用したリアリティの高い映像ソリューションの創出に高い期待を寄せています。Zoomの持つ誰もがどこからでも参加できる高品質のビデオコミュニケーションを活用し、スマホやPC画面に留まらない大画面でのコミュニケーションが社会に浸透することにより、人々により豊かな体験を提供できると信じています。」
新しい生活様式における新しいコミュニケーション
西会津町連携協定式の運営に携わったセイコーエプソン P事業戦略推進部 森本はこう語ります。
デジタル化の加速により情報が溢れかえった社会においては、発信したい魅力をいかに臨場感高く、印象強く伝えていくかが鍵になると思います。オンライン会議ツールを用いれば、画面を通じた対話や資料共有ができますが、固定されたカメラと小さなディスプレイでは、平面的な映像・画像が共有されるだけで、直接的なコミュニケーションと同等のリアリティを感じる体験には至っていないと思います。
今回のような、没入感・臨場感が高く、低遅延の等身大の映像体験があらゆる場所に取り入れられれば、移動する手間や負荷を最小限に留めつつ、感動的で驚きのある演出が可能となり、今まで以上に多くの人々との出会いや交流をつくりあげることができると考えています。
会場には当日朝初めて足を運びましたが、会場で掲出するバックパネルの制作は不要でしたし、デジタルパネルの大きさや、パネル内部の文字の大きさも現場に入ってから微調整を行うことができました。リアルの場で締結式を行っていたら、おそらく数日前に現場に一度入って、パネルサイズを決めて、印刷をして持ち込んで、と様々な調整が必要だったので、デジタルならではの機動性を感じました。
この遠隔・空間接続ソリューションは、半年ほど前から構想をはじめ、社内や協業先のイベント会場などでテストを重ね、今回初めて実運用に至りました。ゆくゆくは、例えば西会津町の農家の皆さん自らが、都内のイベントスペースに接続して、ライブ収穫祭を開催する!ところまでできるのを目指していますが、その実現に向けてはボタン一つで簡単セットアップが可能なパッケージ化を進める必要があります。さらに映像だけでなく、音や匂いなども含めた五感の再現性のも挑戦していきたいと考えています。すでに対話を始めている共創企業の皆さまとともに、夢に挑戦する人たちに寄り添いながら、地域経済の発展に貢献できるようなソリューションの進化を加速していきます。
*当日はシグマのご支援によりミラーレスカメラ、およびF2.8の明るいレンズを採用(24-70mm F2.8 DG DN | Art)
シグマについては、https://www.sigma-global.com/jp/よりご覧ください。
*Zoomについては、https://www.zoom.us/よりご覧ください。
記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、すべてインタビュー時点のものです