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デジタル×伝統、エプソンの技術が紡ぐ地域の未来 - 福島県喜多方市と連携協定締結で新たな一歩 -

こちらの記事の概要
  • エプソンと喜多方市が伝統、文化芸術等を活用した地域活性化を目指す連携協定を締結!その背景と当日の様子をレポート
  • 重要有形民俗文化財に指定されている会津型をメインに、エプソンと喜多方市のこれまでの共創活動を振り返ってご紹介
  • 豊富な歴史的観光資源や伝統を活かしながら、共に地域の課題解決と持続可能な地域社会を目指す

セイコーエプソン(以下、エプソン)は2023年10月30日に福島県喜多方市と「重要有形民俗文化財-会津型-を中心とした、伝統、文化芸術を活用した地域活性化を目指す連携協定」を締結しました。今回は、式当日の様子と連携協定締結に至るまでの背景を、これまで実施してきた取り組みとともにご紹介いたします。

関連ニュースリリースはこちらからご覧ください:福島県喜多方市とエプソンが連携協定を締結

■遠藤 忠一様(写真左)
喜多方市長


■𠮷田 潤吉(写真右)
セイコーエプソン株式会社 執行役員
プリンティングソリューションズ事業本部長

喜多方市とエプソンが連携協定を締結するに至る背景

「蔵のまち」喜多方市を象徴する小田付地区。
「蔵のまち」喜多方市を象徴する小田付地区。

福島県会津地方に位置する喜多方市は、日本三大ラーメンである「喜多方ラーメン」発祥の地として知られていますが、ユニークな土蔵の立ち並ぶ風景は「蔵のまち」としても親しまれ、多様な伝統や文化芸術が育まれてきた土地です。その歴史は古く、歴史的文化資源を活かした様々な活動が行われてきました。

福島県の重要有形民俗文化財に指定されている喜多方市の染型紙は、「会津型」と呼ばれ、着物などに柄を染める際使用されていました。江戸時代から100年以上にわたり東北地方で広く愛され、大正時代に最盛期を迎えますが、昭和初期には歴史の幕を閉じました。それから約50年後、小野寺家の蔵から36,000点を越える型紙が発見されます。それらの型紙は、彫刻刀などの道具類、帳簿や見本帳とともに、貴重な文化財として喜多方市へ寄贈されました。

繊細な柄が施された「会津型」の型紙。
繊細な柄が施された「会津型」の型紙。
たくさんの柄が載った見本帳。
たくさんの柄が載った見本帳。

こうして現代に蘇った会津型ですが、まだ地域の人々に深く認知されているわけではなく、市としてもこの膨大なコンテンツの活用法を試行錯誤していました。エプソンは、この課題解決に寄与すべく、アーカイブ化された会津型のデジタルデータを活用し、デジタルならではの表現を用いたオリジナルメディアを創出。喜多方市のサテライトオフィスに会津型のデザインをプリントした暖簾を提供するなど、会津型を地域に根差した独自の文化として再び認知してもらう取り組みが評価され、令和5年5月、喜多方市から感謝状を贈られました。

会津型をデジタル捺染した暖簾。
喜多方市サテライトオフィスに提供した、会津型をデジタル捺染した暖簾。
喜多方市より授与された感謝状。
喜多方市より授与された感謝状。「日本一カッコいい賞状」をテーマにデザインされ、美しい会津型の吉祥文様(鶴、鯉、松、唐草など)があしらわれている。

会津型に関した喜多方市とエプソンの取り組みは国内にとどまりません。イタリア・ミラノで開催された、4年に1度の国際繊維機械見本市「ITMA2023」では、エプソンブースにて「会津木綿*」へ会津型のデザインを印捺したオリジナルノベルティ(ランチョンマット)を制作、配布しました。このノベルティには二次元コードが付与されており、喜多方市や「会津型」を紹介したウェブサイト へ誘導します。この取り組みは大好評。サイトへのアクセス数も好調で、喜多方市と会津型を世界に発信する機会となりました。

ITMAについての詳細はこちら: エプソンが、4年に1度のITMAに出展! 50m×20mもの広さを誇るブース内部をご紹介します!!

今回の連携協定は、上記のようなエプソンならではのデジタル技術と、喜多方市の文化資源を活用した創造活動をさらに加速させ、地域の活性化と持続可能な地域社会の構築に貢献していくことを目的としています。

*会津地方に伝わる、木綿平織りの伝統工芸品。大変丈夫な生地で、古くから野良着として用いられた。

ITMAにて配布されたノベルティの一部。
ITMAにて配布されたノベルティの一部。当日は全部で9種類のデザインが配布された。

エプソンと喜多方市が取り組む伝統・文化芸術推進活動

エプソンブースを訪れた視察団の皆さん。
エプソンブースを訪れた視察団の皆さん。

10月中旬から下旬にかけ、喜多方市では「きたかた会津型ウィーク 2023」が開催されました。期間中は、視察に訪れた「全国伝統的建造物群保存地区協議会」による視察ツアーが実施され、エプソンも小田付地区サテライトオフィス内に、会津型を活用した、デジタルならではのデザインを活かしたサンプルを展示しました。視察団を案内するのは、地域の伝統文化や観光について学ぶ地元学生の皆さんです。エプソンからは会津型をあしらった名札とスカーフを提供し、当日のツアーで使用していただきました。

会津型グッズのサンプルは、ブースに訪れた視察団の皆様にも好評で、「このランチョンマットはどこで購入できるのですか?」と声をかけられることも。会津型の優れたデザイン性は、現代においても十分に商業的価値があることを実感できる出来事でした。

会津型スカーフを身に着けツアーを案内する学生の皆さん。
会津型スカーフを身に着けツアーを案内する学生の皆さん。セーラー服ではリボンのようにアレンジして着用!
ITMAでも配布された、会津木綿のランチョンマット(右)。
ITMAでも配布された、会津木綿のランチョンマット(右)。展示では小田付の5地区をイメージしたデザインになっている。

「きたかた会津型ウィーク 2023」の期間中、サテライトオフィス向かいの古民家では、本物の会津型紙の展示が行われていました。その展示では、当時貴重であった和紙を再利用した型紙が確認できます。

もともとある資源を有効に活用し新たな価値を生み出すことは、エプソンのサステナビリティ貢献に通じるものも感じます。 喜多方市とエプソンが取り組んでいる会津型の新たな活用も、その一貫と言えるでしょう。

手紙などの和紙を再利用して作られたことがわかる型紙。
手紙などの和紙を再利用して作られたことがわかる型紙。

会津型を若い世代へ!プロジェクションマッピングを用いた教育面での取り組み

サテライトオフィス奥の座敷ブースでは、かわいらしい蔵の模型に会津型のデザインが投影されたプロジェクションマッピングも展示されました。こちらは、前年の会津型ウィーク施策の一環として、喜多方桐桜高校での体験型特別授業で制作されたものです。

「身近な文化資産」+「プログラミング的思考」というテーマで実施されたその授業では、蔵などを模した白い模型をスクリーンとし、16種類の会津型のデザインデータを用いた、専用のアプリケーションでの投影プログラムが組み上げられました。生徒の皆様に「会津型」を身近に感じていただきつつ、自己表現力や構成力、問題解決力を養いながらプログラムの構築に取り組んでいただく狙いです。生徒の皆さんは、みな思い思いの柄をデザインしてプロジェクションマッピングに挑んでいました。

このように、エプソンと喜多方市は、プリント技術を用いた観光資源の活用促進だけではなく、デジタルを活用した子どもたちのへの訴求も取り組んでまいりました。若い世代への周知を広げ、伝統・文化を紡いでいくことは、地域の発展と持続可能な未来への一歩になると考えています。

模型に会津型の模様などをマッピングする様子。
模型に会津型の模様などをマッピングする様子。
喜多方桐桜高校でのプログラミング授業風景。
喜多方桐桜高校でのプログラミング授業風景。

連携協定締結式の様子 持続可能な地域社会づくりへ向けて

会津型が昇華転写されたマウンテンボトルを手に取る遠藤市長。
会津型が昇華転写されたマウンテンボトルを手に取る遠藤市長。

連携協定締結式は、喜多方市市役所の会議室を本会場として開催。登壇者である遠藤市長、セイコーエプソン執行役員𠮷田の2名が登壇し、締結書への署名と挨拶、そして閉会後には懇談が行われました。

懇談会は終始和やかな雰囲気の中で進行され、喜多方の温泉や日本酒の話題に触れつつ、会津型の活用の方法や認知拡大など、文化芸術価値の創出方法についても意見交換が行われました。会場には、エプソンの技術により会津型のデザインをプリントした多種多様なグッズが展示されており、遠藤市長はそれらを手に取ると、印刷技術についての質問や、具体的な活用のアイディアを談義していました。

喜多方市の多用な文化的・芸術的地域資源に触れ、𠮷田は締結式でのあいさつを以下のように締めくくりました。

──市のPR動画に、喜多方を表現して「いつだって喜びは多いほうがよい」という言葉がありました。喜多方市には、先人たちが守り、伝えてきた貴重な200を超える多くの文化財がございます。エプソンは喜多方市様との連携をさらに深め、市民の皆様とともに伝統、文化芸術の利活用を中心に、「魅せる喜び」「出会う喜び」の創出を通じて、「喜びが多く、そして喜びに出会えるまち」「文化芸術創造都市」喜多方市を応援して参ります。

取材実施日:2023年10月

注記:記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、すべてインタビュー時点のものです

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