エプソンと一緒に社会課題解決に取り組んでみませんか?
急増するインバウンド需要に対応!Epson Connectを活用した送り状印刷自動化によるホテルザフラッグのDX
- スーツケース配送業務において、送り状印刷を自動化し、フロントのチェックアウト業務を効率化。宿泊客の滞在体験と顧客満足度の向上を支援。
- フロント業務を圧迫していた手作業の宛名作成を、スマホ入力から宛名印刷までデジタルで解決
- 月350件分、約30時間の作業削減に貢献。 お客様ひとりあたりの対応時間も半分に短縮
コロナ禍で苦境に直面したホテル業界は今、インバウンド(訪日外国人)需要が急回復しています。某ホテルランキング大阪地区No.1獲得経験のあるインバウンド客特化型の「ホテルザフラッグ」も、その高い評価と口コミで連日満室状態が続いています。ホスピタリティを重視した接客対応力向上を目指し、この度お客様から依頼を受けるスーツケース配送業務において、送り状印刷の自動化ソリューションを導入されました。このソリューションの一部にはエプソンのクラウドサービスEpson Connect*1が採用されています。今回はこのソリューション開発を手がけたYuBASE 入田さんと、ホテルザフラッグ経営者信田さんから、フロント業務の効率化を実現したソリューション開発秘話をお伺いします。
ホテルザフラッグについてはこちらから https://www.hoteltheflag.jp/
YuBASEについてはこちらから https://yubase.co.jp/
YuBASE開発スタジオについてはこちらから https://techleap.jp/
開発スタジオTECH LEAP は「テクノロジーが浸透すれば、世界はもっと飛躍する」というビジョンを掲げ、内製化ファーストなデジタル業務改善など、DX推進を支援しています。
■信田 光晴様(写真右)
ホテルザフラッグ 代表取締役
■入田 隆様(写真左)
YuBASE 共同創業者 CTO
■聞き手:森本 さやか
セイコーエプソン株式会社 P事業戦略推進部
※本文中は敬称略
*1 Epson Connectとは
「スマートデバイス・PC」と、IoTエッジデバイスであるエプソンの「プリンター・複合機」がインターネットを介してつながり、ドライバーレスで遠隔からの印刷や、スキャンデータをクラウドストレージにアップロードできるクラウドサービスです。
* Epson ConnectやAPIについては、https://openinnovation.epson.com/epson-connect/ よりご覧ください。
「送り状印刷の自動化」でフロント最繁時のチェックアウト業務を効率化 - お客様ひとりあたりの対応時間が半分に
── ホテルのフロント業務でどのような課題を抱えていらっしゃいましたか?
信田:当ホテルは大阪の中心でもあるショッピング街「心斎橋」に位置し、100%がインバウンドのお客様です。身軽に楽に移動したいお客様から、スーツケースのホテル間宅配便配送を頼まれるのですが、その送り状作成に非常に手間がかかっていました。
私たちが大切にしているのは「言葉の通じない異国でも安心して戻ってこられる唯一の場所」であることです。英語すら通じにくい国でも、旅先での感動や困りごとなど、誰かに伝えたい世間話を、母国語で共有できる場所になりたいと考えています。そのためフロントスタッフがお客様ひとりひとりの体験価値の向上に力を注げるよう、送り状作成の効率化を目指していました。
── そこでYuBASE入田さんに「送り状管理システム」のソリューション開発を依頼されたのですね。どのような自動化ソリューションなのか、教えていただけますか。
信田:荷物の送り先情報の入力から、宛名ラベルの印刷までを自動化するソリューションです。
お客様にはご滞在中、客室にてご自身のスマートフォンやスマートデバイスから「荷物配送入力フォーム」に、次の宿泊先ホテル名、住所、宿泊者名を入力いただきます。その情報がシステムに届き、フロントスタッフが内容を確認します。フロント業務が落ち着く夜間に、スタッフが内容に漏れがないことを確認し、配送業者指定の送り状を印刷します。チェックアウト時にお客様と共に送り状内容を再確認し、配送料金の確定・集金後、お荷物をお預かりします。
導入前は、チェックアウト時にお客様から荷物配送の依頼を受け、その場で送り状の記入サポートをしていました。6月に本ソリューションを導入し4カ月以上稼働していますが、10月だけで約350個の送り状作成に対応しました。お客様ひとりあたりの対応時間が10分から5分に短縮され、フロント業務のピーク時間(9:00-11:00)の業務効率が劇的に改善しました。お客様にも高い評価をいただいており、某予約サイトには「優れた荷物配送サービスを提供している」との口コミもいただいています。フロント業務の大幅な改善により、その時間を重視したかった滞在体験の向上に充てられています。
スマートかつシンプルな開発思想でメンテナンスコストを下げたソリューションを提供 - Epson Connect メールプリント機能で自動化実現
── ここからは開発・提供者である入田さんにお話をお聞きします。どのような経緯でソリューション提供に至ったのでしょうか?
入田:信田さんからは、弊社提供サービスのひとつiPaaS(Integration Platform as a Service、複数のクラウド環境上に分散している業務システムを統合するためのクラウドサービス)での業務プロセス自動化に興味を持っていただき、ご相談をうけました。ヒアリングを重ねる中で緊急性と即時性の高い業務改革として「送り状」作成の自動化提案に至りました。
信田さんほか、ホテルザフラッグの情報システム担当の方がプログラミングにも明るいことを知っていたので、ホテル側に保守費用の負担がなく、独自に運用ができるようなシステム構築を目指しました。ノーコードでワークフローの自動化ができるWebアプリを採用し、ゼロから作ることなくコストを抑え、最適かつスマートな方法を採択しました。
── 入田さんはエプソン主催ハッカソン「HackTrek 2022」優勝者でもあり、Epson Connect機能は熟知されていたと思います。今回、どのようにEpson Connect連携されていますか?
送り状の自動印刷には、Epson Connectのメールプリント機能を採用しています。ノーコード開発Webアプリのメール送信機能にEpson Connect対応プリンターのメールアドレスを入力するだけです。メールプリントは、メールにファイル添付して送付するだけで、指定したメールアドレスのプリンターで印刷実行されますし、Epson Connectの管理画面で「送信者情報」「メール本文」の印刷有無の選択もできますし、開発者にとってこんなに便利で簡単なクラウドサービスはないです。自動印刷の実装自体はたったの10分で完結しています。API実装となると、クライアント側にAPI利用のためにライセンス申請をしていただけるよう、説明や調整などが必要になりますが、Epson Connectであれば、設定方法などもWeb公開されているので案内もしやすかったです。お互いの連絡コストも削減できました。
入田さんのホテル側の負担を軽くしたい想いと、信田さんのお客様の滞在体験向上への熱意が重なり、送り状印刷の自動化ソリューションが生まれました。クラウドサービスに簡単に自動印刷機能を組み込めるEpson Connectが、これからもより多くのお客様の体験価値向上や業務改善に寄与できるよう、エプソンはサービス提供者との共創や開発支援の拡充に取り組んでいきます。
YuBASEは2022年3月に行われたエプソン主催ハッカソン「HackTrek 2022」優勝チームです。
ハッカソン開催レポートや、エプソンによる市場導入サポート支援についてはこちらから。
- 「HackTrek 2022」開催レポート https://openinnovation.epson.com/topics/20220426/
※当時は「あたた!」というチーム名で出場されています。 - 市場導入サポート支援について https://openinnovation.epson.com/topics/20230831_2/
取材実施日:2023年10月
注記:記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、すべてインタビュー時点のものです