エプソンと一緒に社会課題解決に取り組んでみませんか?
在宅医療における業務効率化を実現
モバイルプリンターを活用した現場/遠隔印刷の価値を検証
- 東大阪市で在宅医療も行っているおさかクリニックとモバイルプリンターを活用した現場/遠隔印刷の価値を検証
- 在宅医療における現場での印刷や遠隔印刷が医療従事者の業務負担軽減、患者さん・ご家族の満足度向上に寄与することを実感
- 医療現場における紙やエプソンの発揮できる価値を再発見
■おさかクリニック×レオクラン×エプソン 実証実験実施
医療現場の困りごとを解決するのに、我々のハードウェアやクラウドサービスEpson Connectがその価値を発揮できる―エプソンはそう考えています。昨年の3月上旬、医療機器専門商社の株式会社レオクランの皆さんと、Epson Connect APIを活用した病院経営課題解決策のアイディアソンを開催しました。
※昨年のアイディアソンの記事はhttps://openinnovation.epson.com/topics/20230427_1/よりご覧ください。
今回は、これらのアイディアを形にするためにすでに動き出している事例として、大阪府東大阪市の「おさかクリニック」さんにご協力いただいた実証実験の結果をご紹介します。在宅医療の困りごとをどう効率化したのか、現場の皆さんと一緒に議論し、検証した結果を是非ご一読ください。
■小坂 博久 様(写真左)
おさかクリニック 院長
■新城 めぐみ 様(写真右)
おさかクリニック 看護師長
■聞き手:白鳥 浩平
セイコーエプソン株式会社 P事業戦略推進部
※本文中は敬称略
■医師、看護師、事務員スタッフ全員でのチーム医療を大事にしている「おさかクリニック」
近鉄東花園駅北出口すぐのロータリー前にある「おさかクリニック」。院長の小坂博久先生は消化器内科を中心に、内科・外科・肛門外科とさまざまな分野を専門に診察を行っています。小坂先生は総合病院などでの長い勤務経験を生かし「苦痛の少ない治療や検査」をモットーに検査や治療を行っており、内視鏡による胃や大腸の検査や、土曜の検査にも対応しています。更に在宅医療にも注力し、自宅での診察や看取り、患者さん以外のご家族のケアなどの実現のため、看護師とともに訪問・往診にあたっています。
今回の「おさかクリニック」さんとエプソンとのご縁は、レオクランさんのご担当者から、
「おさかクリニックさんでは、患者様に満足してもらえる診療をするため、医師だけでなく、看護師、事務員を含めたスタッフ全員でのチーム医療を実践している。この先進性とエプソンの取組みは通ずるところがあるのではないか。」
というご紹介をいただいたことがきっかけでした。ここから、おさかクリニックとエプソンの実証実験の取り組みが始まりました。
おさかクリニック
■診察内容
内科一般、消化器内科、内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)、外科、肛門外科
■所在地
〒578-0924
東大阪市吉田6丁目1-27
・近鉄線「東花園」駅北出口ロータリー前
■在宅医療における現場での印刷と遠隔印刷が業務負担軽減につながる
在宅医療の現場は、普段診察を行っているクリニックではなく、患者さんの自宅や介護施設となり、処方箋や紹介状などの作成が普段通りには行えないため、やりにくさや不便に感じていることがあるのではないか?そのような仮説から小坂院長と新城看護師長に現場の困りごとのヒアリングをしました。
そうすると、例えば、「処方箋はクリニックに帰った後に毎日薬局宛にFAXを送っており、夜遅くまで時間がかかってしまう」。さらに、「処方箋は薬局への原本送付が必要なため、毎月郵送作業に時間がとられている」。また、「紹介状は一度クリニックに戻ってから作成した後で患者さんに届けるため、追加で往復の移動時間が発生する、もしくはご家族にクリニックまで取りに来てもらうこともあるため、患者さんやご家族にご面倒をかけてしまう」。このような声が上がりました。
そこで、患者さんのご自宅や施設で処方箋や紹介状の作成ができれば、これらの困りごとは解決されるのではないかと考え、普段使っている電子カルテと連携させたエプソンのモバイルプリンターを現場に持って行って使ってみてもらうことにしました。
その結果、処方箋については、毎日のFAXや毎月の原本送付の作業が大幅に減り、看護師や事務員が早く帰れるように、また、施設への訪問では、施設に訪問している薬剤師とその場で処方箋を見ながらコミュニケーションが取れるようになるため、患者さんにお薬を受け取ってもらえるタイミングも早くなり、患者さんも喜んでくれたといいます。さらに、紹介状に関しても同様で、クリニック側の移動時間だけでなく、ご家族の来院の手間も省くことができ、こちらも患者さんにとっても嬉しい結果となりました。さらに、紹介状や診療情報提供書に関しては、Epson Connectの遠隔印刷の機能を使って、紹介先の病院に訪問先から鮮明な画像で即時共有することができれば、先に書類が確認できることで早く受入れ可否の判断ができるため、病院にとってもメリットになるのでは、という意見もありました。
■患者さんやご家族、施設間でのコミュニケーションにおいて紙の価値は大きい
おさかクリニックは、チーム医療を重視しており、今年の4月には訪問看護ステーションの立ち上げを予定しています(令和6年4月開設:訪問看護ステーション「和らく」)。今後もなるべく多くの患者さんが住み慣れたご自宅で最期まで過ごせるよう、患者さんはもちろん、ご家族のサポートもしていきたいと考えているそうです。
また、今回取り上げた処方箋や紹介状はいずれも他施設との情報共有のために使われているものです。手軽に、確実にコミュニケーションができる手段として紙はまだ残っており、デジタルと紙を組み合わせたコミュニケーション手段の提供が医療全体にとっても価値になるのではと感じています。
最後に、小坂院長と新城看護師長に医療現場での紙の価値についてご意見を伺いました。
「患者さんへのご説明は、口頭やスマートフォン経由ではなく紙に書いて説明し手渡しするほうが丁寧だと感じている。また、治療や看護の実施内容、お支払いのご案内については、ご家族へ毎月おひとりおひとり手紙を書いている。そうやって紙を使うことで、温かさや優しさを感じて頂けると思う。実際に、お亡くなりになってしまった患者さんの息子さんから、『毎月の手紙の中で、母の日々の状況がよくわかり安心できた。とても嬉しかった』という言葉をかけていただいたこともあった。こういったコミュニケーションを続けていかなければならないと強く感じている」
と、日々の診療の中で感じていることをお話いただき、やはり医療のようなホスピタリティが重要な場所で紙が果たす役割は大きいと感じました。
今回の実証実験を通じて、在宅医療の現場においてエプソンがお役に立てること、また、医療現場の困りごとを解決するのに、紙によるコミュニケーションの改善余地があることを、改めて実感しました。
今回検証できた価値や議論の中で新たに出たアイディアを含め、これらのアイディアを形にするために、今後も様々なチャレンジを続けていきます。
エプソンは今後も、パートナーとの共創により、よりよい社会の実現に向けて活動していきます。
取材実施日:2024年1月
記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、すべて実施時点のものです